腕が上がらなくなる疾患㉒

2016年2月2日

最近よくみる症状が、肩が上がらなかったり、腕や指のだるさ・痺れを訴える方が多いことです。

もちろん寒さも一つの原因なのですが、一番は肩の使い過ぎによる疲労です。

五十肩や胸部出口症候群といった症病名がありますが、肩は関節の可動域が広く、前後左右はもとより三六〇度回転することができる仕組みになっていることから、一番痛めやすいのかもしれませんね。

肩関節自体が、肩甲骨と上腕骨(腕)のつなぎ部分を指しますが、関節接合部がとても浅くできているため、上腕骨が広く動く反面、不安定で脱臼しやすいという弱点があります。

そのため肩関節の周囲は複数の筋肉が取り巻いて支えています。

また、「滑液包」という袋があって、潤滑油のような働きをして筋肉と腱の動きをよくしています。

さらに肩甲骨と鎖骨はいくつもの靭帯で結合されており、さきほどの筋肉もコラーゲンと繊維からなる「腱」によって骨と連結しています。

腱は平たい形から「腱板」と呼ばれていて、肩関節の安定に大きく役立っています。

五十肩もそうですが、この腱板こそ炎症が最も起こりやすい場所なのです。

その理由として、もともと血管が少ない部分であり、一度傷ついてしまうと修復されにくい性質で、老化が進むにつれてちょっとした力が加わるだけで炎症を引き起こしてしまいます。

よく肩に痛みがあると、安静にしておいてくださいと言いますが、まったく動かさないと癒着(石灰化)が起こり、関節可動域がなくなり、十分に動かせなくなってきます。

動かさないと筋肉は衰えて細くなってしまうので、腕の維持ができなくなってしまいます。

例えば、早いうちから少しずつ痛みを感じない程度に動かすといいでしょう。

ただし、炎症のひどい場合は無理をせずに軽く運動することをおすすめします。

予防としては、片方の肩が治ったらもう片方の肩が痛くなったというケースがあるので、日頃から特にお風呂あがりの、肩が温まっているときにでもグルグル回すだけでもかなり効果が違ってくると思います。

身体のどの部分もそうですが、関節や筋肉には常に疲労が溜まりやすいのです。

特に肩の損傷には気を付けて下さい!